ジャーナルJOURNAL

イタリア旅5

そして,この旅最大の難所?「ブリオン・ヴェガ」

「ブリオン・ヴェガ」は「ブリオン家のお墓」ということで,日本では考えにくいのですが,個人のお墓と一般の人のお墓と付随する建物群でできています.私設の霊園といった感じでしょうか.

最寄りの鉄道駅カステル・フランコ・ベネトまで行って,そこから片道10kmくらいをバスで移動と考えていたのですが,駅前にタクシー発見.

英語が通じなかったけど,交渉するとすぐに電卓アプリで金額を提示してくれた.この手の観光客に慣れている感じ.

往復交通費+現地に1時間滞在で60€.

バスに比べたら高いけれど,おっさん3人で行ったので時間を考えたらかなりお得.

メーターもちゃんとおろしてくれていて,片道27ユーロくらいだったので,妥当な料金で安心.

墓地の目の前に車を停めおろしてもらう.

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鉄筋コンクリート造でほとんどできていて,かなり繊細なディテールが集まっている.

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入口部分でいきなりRC製の引戸.戸車まで製作されている.

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このあたりで,こんなのコンクリートでできるのかという疑念がふつふつと.

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そして,金属や石や木材などの異素材がコンクリートときれいに組み合わせられている.

施工のことを考えるとどれもぞっとするようなディテールで.

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知っているものと違うと思ったら,蓮池部分の木造の上屋がなくなって,鉄骨のフレームだけになっている.

そういえば礼拝堂の木製の十字架などはなくなっている.

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ここに屋根がかかっていたはず.

でもそれがなくてもこのころには何が間違っているかなんてもうどうでもよくなってきてました.

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お墓の上屋はこんな感じで

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その天井は空を模したようなタイルと大理石越しの光.

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別の部分では斜めの壁と基壇部分と屋根部分が縁が切れてすべてに15ミリ程度のスリットがはいっている.

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証拠にその部分はトカゲの住処に.

型枠の脱型が難しいものがたくさんあり,別の場所で打設したものを取り付けている部分がたくさんある.

見ていくとかなりの部分がPC化されている.

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階段もこんな感じで.

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床の杉板型枠.逆さ向きにコンクリートを打設して,ひっくり返さないと,ここまでくっきりと木目はでない.

(経験があるので間違いない…)

そして明らかにこの床下に空間があることが感じられ浮かせてある.

そして先ほどの床の小さな穴は屋根からの雨水がこの穴に落ちてくるように当初なっていたんだろう.

そして雨が上がるころには雨水がこの床の下にある水盤にぴちゃんと跳ねて,水盤との空間と反響して不思議な音が奏でれられていたに違いない.

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天井部部分はこのように朽ちてしまっていて,太陽光が見えているのでこの中空部分に雨水がたまり,水を落とすための何かか取り付けられていたはず.

ただ,雨のせいで予想以上に早く劣化してしまったんだろう.

あー,全然頭がついてこない.

ほとんどすべてに何かしらのデザインがされていて,なぜこんなデザインとディテールにしたのかと悩む.

そして,遊び心満載.

宗教的な死生観でいうと的を得ていないかもしれないけど,再び目覚めるときまで過ごす永遠を思えるような時間を楽しくするための考えられた空間のように感じました.

だってなかなか飽きることがないでしょ.

1時間では全然理解できない,とても居心地のいいお墓でした.

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最後にスカルパ本人のお墓.

私もこんなお墓に入れたらいいなと思う.

また行こう.