コンクリートの壁にふわっと包まれて,道路からの騒音や視線が気にならなくなる幹線道路沿いに建つ家
北が交通量の多い幹線道路、西が6m道路に接する交差点に建つRC全館空調外断熱住宅。
道路からの騒音と視線が気になる敷地なので、道路境界部分にRC杉板型枠打ち放しの大きな壁を設けて、バッファーゾーンを設け、その向こう側に開口部を設置することで、音や視線が室内に直接届きにくくしています。
結果、太陽光はその壁の隙間に入ってきたものが壁全体を照らしたり、壁に光のラインを描き出したりして、季節や時間によって刻々と表情を変えていきます。
そして、その壁は地上から浮かせるように設置してあり、その部分に植栽を設けることで、視線を遮りながらも緑を室内から眺めることができ、街を歩く人たちへの圧迫感を和らげながら潤いを与えられたらと考えました。
RC全館空調外断熱空調としているので、RC杉板型枠打ち放しの大きな壁の内側には開口部をカーテンウォール3層吹抜けとした階段がありながらも、穏やかな室内環境も確保されています。
- 所在地
- 兵庫県芦屋市
- 敷地面積
- 約70坪
- 延床面積
- 約105坪
- 間取り
- 6LDK
- 構造・規模
- 外断熱RC造地上3階建
- 用途
- 一戸建ての住宅
- 設計
- シンプレックス一級建築士事務所
- 施工
- 栗本建設工業
- 竣工
- 2016年5月
- 写真撮影
- 平 桂弥
交差点部分のRCの壁は宙に浮かせてあり、歩行者の視界を確保しながら街と緑を共有している。
森の小径を歩くように木々に囲まれたアプローチを進むと玄関が見えてきます。
玄関に入ると正面には木の板が浮いたような階段があり、足元だけ道路を見ることができる植栽が植えられた中庭がその奥に見えます。
中庭の木々を見ながら上階のスペースへとアプローチしていきます。
階段をあがると南からの光が差し込む明るい階段と一体空間となったダイニングがあります。
少し手元の隠れるカウンターのあるキッチンには開口もあり、明るいところで家事ができます。
リビング空間には時間や季節によってはトップライトからの光が差し込むように設計されています。
洗面室は宙に浮いた鏡収納がありお風呂と一体的な空間となっています。
外皮部分のRC壁と本体部分の間にある隙間空間には庇が差し込み、植栽の緑も楽しむことができます。
中庭には光を求めて、木々が高く背を伸ばしていっています。